2016年06月21日

岸壁に衝突しないのは

代々漁を生業として今に至る村上家の船の係留場所は、昔から決
められた位置にある。豪進丸」は湾内に入ると一気に減速し、向きを定めるとイサムは古タイヤを張りつけた舳先と護岸に絶妙な間を開けて船を止めると、岸の上に飛び移った後輩の友夫は、先輩たちの顔を交互に見やりそわそわしている。何しろ友夫の高校時代、4人集まれば近隣の高校生や多少やんちゃなお兄さん達もよけて通る、そんな4人のうちの2人が目の前で片。


船が波に押されて岸壁に衝突しないのは、イサムが事前に艫(と
も:船尾の意)から投げ入れていたアンカー(錨:いかり)が、適度な
位置の海底に沈み重しとなって豪進丸を引きとめているからだ。
頑丈な杭にロープで船を繋ぎ止め顔を上げたイサムに勇一は親
指を立てて見せた。イサムは家に向かって走り去る。

友夫は返事をすると後輩の友夫は、先輩たちの顔を交互に見やりそわそわしている。何しろ友夫の高校時代、4人集まれば近隣の高校生や多少やんちゃなお兄さん達もよけて通る、そんな4人のうちの2人が目の前で片
やあやまり、もう一方はまゆ毛を吊り上げているのだ!、 向かった。いつもの陽気な友夫に戻っている。大好きだけどおっかない先輩たちの機嫌が直ったか らだ30分後、大岩底の海上に「豪進丸」が漂っている。船には後輩の漁師を一人見張らせておいて、勇一とイサムは海中へダイブした。帰ってきた・・魚たちが驚いて四散した。お!あのウニ、後で頂い
とくかな・・・やっぱり海はいいな、俺たちの海だ・・・)

イサムが予備の酸素ボンベを大岩底の横穴の入口脇に固定して
いるのを他人ごとのように眺めながら久しぶりの海中散歩を楽しん
でいた。おお!という声がして、そちらを見た。本当は水深10メートルの海の中で声など聞こえるはずがないのだが、勇一は確かに聞いた。

イサムのやつ、テレパシー使えるんじゃ・・・)イサムがこちらを見て手招きしている。イサムの肩に手を置くと、見てみろ!と言わんばかりに大岩底の横穴の中を指差し、勇一から見えるように身体を横にした。蠟月後輩の友夫が気を利かせて、炭焼きバーベキューセットを持参し



Posted by 作戏レクトリウムのベッドよりは技術だ at 15:23│Comments(0)
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